ロッシーニ「小荘厳ミサ曲」 12人の独唱者と2台のピアノとハルモニウム
2026年8月13日、三鷹市芸術文化センター風のホールで、ロッシー二「小荘厳ミサ曲」 (12人の独唱者と2台のピアノとハルモニウムのヴァージョン)を聴いた。
コンサートは16時開始。三鷹駅に到着する少し前から、猛烈な雨が降り出し、駅に着いても、多くの人が駅構内に避難していて、動きが取れなかった。しばらく待ったが、どうにもならないのでタクシーで会場に向かった。タクシー乗り場に行き、しばらく車を待ち、乗り込み、会場前で降りて中に入っただけで、靴はずぶぬれ、服もズボンも半分くらい濡れた。コンサート中、寒気を感じ、足も不快だった! 同じような状態の人は大勢おられたと思う(ひどい目にあったと思って、足が濡れたまま帰宅し、テレビをつけて千葉県の線状降水帯が発生して大変なことになっているのを知った。それに比べれば、私の雨被害など何ほどでもなかった。千葉県の被害が増えないことを祈る!)
演奏は素晴らしかった。2台のピアノとハルモニウムはオリジナル・ヴァージョンだが、やはりこの曲は、オーケストラ版よりもこの版がいい。
ソプラノは、澤江衣里、藤崎美苗、金持亜実、アルトは布施奈緒子、青木洋也、高橋ちはる、テノールは中嶋克彦、板谷俊佑、坂東達也、バリトンは与那城敬、篠部信宏、藤井大輔。ピアノは渡辺治子と丸山麻美、ハルモニウムは西沢央子。指揮は青木洋也。豪華な顔ぶれと言ってよいだろう。名手たちが結集した感がある。
こんなにきれいにハモる合唱を聴くのは久しぶりだと思った。12人がこれほどの名手たちだとこうなるのだ!と改めて思った。全員の音程が確かなのできれいに響く。ピアノやハルモニウムの音が明確に聴こえ、穏やかでとてもいい。
ソリスト(澤江衣里、布施奈緒子、中嶋克彦、与那城敬)もみんなが素晴らしかった。とりわけ、私はソプラノの澤江の透明で輝かしい美声と与那城の格調高くも豊かな低音に惹かれた。二人とも、歌唱の声のコントロールと強弱が絶妙だと思った。
ロッシーニは、快楽主義的で怠惰で俗っぽい人間だと思われている(おそらく、実際にそうだったのは確かだと私も思う)が、確かに深い信仰心を持っていた。彼のミサ曲やスターバト・マーテルを聴くとそう思う。もちろん、厳粛ではない。バッハのような雰囲気はまったくない。だが、特有の信仰がありそうな気がする。ロッシーニの信仰についての研究書を誰か書いてくれないだろうか。あるいはきっともうあるだろう。日本語訳があれば読んでみたいものだ。峻厳な神への祈りというよりも、穏やかな神への祈りにあふれている。
ともあれ、私はロッシーニの不思議な信仰心を耳で聞いて、大変心地よく思った。
ただ、私がこれまで聴いたこの曲の2台のピアノとハルモニウム版は、もっと親密で、もっと内向的な演奏だった気がする。私はこの曲をそのように思ってきた。老いたロッシーニによる、こじんまりとして、内輪の人たちだけでお祈りをするようなミサ曲。求心的で内向的。もちろんロッシーニだから、オペラ的になるし、ユーモラスにもなり、ちょっと外向的にはなるが、あくまでも内を向いている。ところが、今回の演奏は、それほど内向きではなく、外に出ていこうとする力を感じた。そのあたりが、私の好みとは少し違っていた。
とはいえ、とても満足。演奏を聴いている間は、濡れた足の不快も忘れていた!
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