コンツ&周防&日フィル ブラームスに興奮!
2026年8月9日、ミューザ川崎コンサートホールでフェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2026、日本フィルハーモニー交響楽団演奏会を聴いた。指揮はクリストフ・コンツ、曲目は前半にヨハン・シュトラウス2世の喜歌劇「こうもり」序曲と、周防亮介のヴァイオリン・ソロによるブラームスのヴァイオリン協奏曲、後半にブラームスの交響曲第1番。素晴らしい演奏だった。
コンツは、少し前までヴァイオリストとして知られていたが、今や世界で注目される若手指揮者だ。大いに期待して出かけた。
「こうもり」を聴いた時点では、長い腕を使ってのスケールの大きな演奏に少し違和感を抱いた。きびきびしてまるで軍隊調の音楽になっているような気がした。オペレッタっぽくなくて、なんだかやたらと威勢がいい。切れのよい、とても透明な音なのだが、もう少ししなやかさがほしいと思った。
だが、ブラームスの協奏曲になってからは、そのような印象はなくなった。素晴らしい演奏だった。コンツの指揮は、音がクリアで、きりりと引き締まって推進力がある。しかも、スケールが大きく、しばしば溜めを作って、高揚を導く。
第1楽章の高揚も素晴らしかった。第2楽章のアダージョがことのほか美しかった。ブラームスの木管楽器特有の渋くて地味でロマンティックな美しさが静かに広がっていく。そこに周防のヴァイオリンが重なる。第3楽章の高揚にも興奮した。
周防のヴァイオリンも素晴らしかった。実は、実演で聴くとなぜかヴァイオリンに満足できることが少ない(なぜなのか、私なりに仮説はいくつか考えているが、それにはここでは触れない)。だが、今日はかなり満足した。深みのある美音で流麗。しかも時に狂おしいまでに高まる。ただ表面的に磨かれた美音ではなく、心の中の思いをぐっとかみしめながら表現しているかのような音楽だと思った。第1楽章のカデンツァも実に雄弁。思いがあふれている。しかし、ブラームスらしく、形式をはみ出さない。それを周防は激しく描いていく。心を揺り動かされた! 周防のヴァイオリンはこのところ、聴くごとに深く感動する。素晴らしいヴァイオリニストだと改めて思った。
後半の交響曲のとてもよかった。こちらはコンツの音楽を存分に味わうことができた。協奏曲と同じように、推進力のあるスケールの大きな演奏で、ぐいぐいと音楽を進めていく。
小細工のない真正面からの演奏に思えるのだが、第1楽章冒頭はこれまで聴き慣れたティンパニの推進する重厚な雰囲気はあまりなかった。また、終楽章の印象的な金管楽器の重なり(素人なので、第何小節なのかなど語ることができない)が聞こえてこなかった。そんな意味で、個性的な面も備えた演奏だったと思う。だが、それにもまして、高揚感があり、音が研ぎ澄まされており、構築性があるので、聴いているものとしてはぐいぐいと音楽の中に引き込まれる。終楽章では大いに興奮した。
ただ、日フィルについては、全体的には透明な音を出して、私はとても満足したのだったが、いくつかのミスが気になった。ホルンが音を何度か外した気がした。また、恥ずかしながら、弱い音だったので何の楽器なのかわからなかったのだが、コンツが溜めを作っているとき、金管楽器の一つが待ちきれずに飛び出した(?)ような気がした。もしかしたら私の気のせいかもしれないし、そうでなかったにしてもたいした瑕疵ではないのかもしれないが、少々気になった。そんなところまできちんとそろっていたら、もっとすごい演奏になっただろうと思った。
繰り返す。少し気になるところはあったが、大変満足だった。大いに興奮して聴いた。
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