吉田志門&碇大知 町田での演奏も名古屋に輪をかけて凄かった!
2026年8月4日、町田市民フォーラムで、町田イタリア歌劇団主催による、吉田志門と碇大知の結成10周年記念コンサート「永遠の愛について」を聴いた。
今年3月の霞町音楽堂とほぼ同じプラグラム、7月30日に名古屋の電気文化会館ザ・コンサートホールで聴いたのとまったく同じプログラムだが、いずれもあまりに素晴らしかったので、また別の会場で聴いてみたいと思ったのだった。
こちらは200名ほど入る会場。音楽専用のホールではないので、響きはよいとは言えないし、ピアノの音が少々硬い気がしたが、今回もまた素晴らしい演奏だった! 名古屋も素晴らしいと思ったが、ますます完成度が高まっていた。十分に告知されなかった(私もこのコンサートを知ったのは、ほんの少し前だった!)ためもあって、空席が目立ったのが残念だ。
定員80名のホールだった霞町音楽堂、400名弱だった電気文化会館、そして、200名程度の今回の町田市民フォーラム。吉田は見事にそれぞれホールに合わせた歌唱をしていたと思う。その意味で、今回が最も自然な声だったと思う。遠慮せずに声を出すことができ、無理に声を張り上げる必要もない、歌曲に最もふさわしい大きさだといえるだろう。そのためもあるのかもしれない、最初から、力むこともなく、自然な声。しかし、もちろん初めのブラームスの2つの歌曲でロマンティックな情熱にあふれた世界を作り出す。
前半のメインである「美しきマゲローネのロマンス」からの8曲は、名古屋での演奏よりもいっそう二人の息がぴったり! 若きブラームスの世界が現前した! 私は大学生のころだったか、フィッシャー=ディスカウとリヒテルの録音でこの名曲を知り、その後、かなりの種類のレコード、CD、そして数回の実演を聴いてきたが、その中でも最も感動的な演奏だと思った。高貴で多感な精神を持つ若い情熱が迸る。涙が出てきた。
後半の木下牧子の「ほんとにきれい」「 足おと」「竹とんぼ」「ロマンチストの豚」「さびしいカシの木」「海と涙と私と」「犬が自分のしっぽをみてうたう歌」「いっしょに」、そして最後に歌曲集「いちばんすきなひとに」。これらもまた、名古屋での演奏よりももっと二人の息が合っているのを感じた。吉田の鮮明で美しい日本語の発音、詩情にあふれた歌、それに寄り添う叙情的でしなやかなピアノ。よりいっそう一つ一つの歌曲のニュアンスを明確にする。「いちばんすきなひとに」の5曲は本当に美しい。5つの歌曲が折り重なり、つながり、最後に静かに、そして感動的に幕を閉じる。
歌曲集「いちばんすきなひとに」はひとつながりの曲なので、ふだんは一つの歌ごとに拍手が入らないのだが、今日の町田では、多くの人が曲ごとに拍手を送った。あまりに素晴らしい歌なので、一つ一つ拍手を入れたくなる気持ちはとてもよくわかるし、私も思わず拍手をしたくなったが、やはり拍手で感興を断たない方がよいと思った。
それにしても、素晴らしい演奏だった。これ以上は考えられないほどの完成度だと思う。まさに世界的レベルの演奏!
アンコールは、木下牧子の「おんがく」。この曲の良さをしみじみと味わう。この二人が演奏すると、確かに音楽が「見える」!
神奈川県に囲まれて存在する東京都のはずれにある町田市の小さなホールで世界最高レベルの演奏が聴くことができた。至福の時間だった。
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コメント
1年前に別のところで、この二人の演奏を拝聴しました。期待通りのすばらしさでした。吉田さんのSNS発信は数年前からfollowしています。
投稿: M.N. | 2026年8月 6日 (木) 09時43分
M.N 様
コメント、ありがとうございます。
吉田志門さんと碇大知さん、本当に素晴らしいですね。私もこれから応援していきたいと思っています。
投稿: 樋口裕一 | 2026年8月 6日 (木) 20時37分