文楽「仮名手本忠臣蔵」を楽しんだ
2026年9月13日、江東区文化センターホールで、国立劇場文楽鑑賞教室、大人のための文楽入門(Aプログラム)をみた。途中で、「文楽の魅力」(竹本小住太夫、野澤錦吾、桐竹勘次郎)という、初心者にもとてもわかりやすくい解説が入って、上演された演目は、人形浄瑠璃「二人三番叟」と「仮名手本忠臣蔵」より山崎街道出合いの段・二つ玉の段・身売りの段・早野勘平腹切の段。
私はまったくの初心者だが、これまで数回文楽に触れて、その魅力はだんだんとわかってきた。
「二人三番叟」は祝賀の際に上演される舞と音楽の出し物。私もこれまで何度か味わったことがある。私の席は三味線が真正面に見えるところだったので、ほとんど初めて三人の三味線の「合奏」を目の当たりにした。調弦をしたり、転調をしたりといった所作がとても興味深かった。「文楽の魅力」の時間に説明があったこともあって、人形の動きと三味線の音の関連がよくわかった。
休憩後の「仮名手本忠臣蔵」は、討ち入りに参加できなかった悲劇の人物である早野勘平を主人公とするいくつかの段だ。有名な場面なので、初心者の私もこれまで映像や実演で何度か観たことがある。リアルな演劇でこのような悲劇を目にするとやりきれない気持ちになりそうだが、太夫の語りと人形の所作なので、抽象化されたエッセンスとして観ることができる。
「山崎街道出合いの段」は豊竹亘太夫と鶴澤清公、「二つ玉の段」は豊竹芳穂太夫と竹澤團吾、「身売りの段」は豊竹希太夫と鶴澤寛太郎、「早野勘平腹切の段」は竹本織大夫と鶴澤藤蔵。早野寛平の人形は吉田玉助、おかるは桐竹紋臣、与一の女房を吉田蓑二郎。
すべてにおいて感心するばかり! 人形の動きのすべてに感服する。勘平の嘆きの動き、切腹の所作、与一の女房の怒りと無念、悪役・定九郎の動きなどなど。それを描く三味線もぴたりと寄り添う。三味線からは舞台上の人形は見えていない様子なのに心の動きの一つ一つを描いていく。
そして、やはり私の耳は太夫の語りを追いかける。語りのすべての人のうまさに驚いたが、やはり私は最後の段の竹本織大夫の声の振幅の大きい語りに惹かれた。リアルな人間の会話とはかけ離れた語りなのだが、そうであるだけに様式にのっとって虚構世界を作り上げ、そこに独特のリアリティを付け加える。これを「味」というのだろう。
おそらく、通と呼ばれる人の1パーセントほどしか味わっていないと思うが、ともあれ文楽の世界に入り込んだ。「うーん、勘平かわいそう!」「早まらなければいいのに!」「主君への思いを立てると、こうせざるを得ないんだろうなあ!」などという、あまりにうぶな気持ちを抱きながら、登場人物たちのそれぞれの義理人情と板挟みを感じつつ、ともあれ文楽を楽しんだ。

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